トゲトゲのガンギの長いほうの歯がテンプの軸に刻まれた溝に入って進みます。
その時に短いほうの歯(Short Impulse Tooth)がインパルスピンを
押す事によってテンプに回転する力を伝えます。
一方向の振りでのみガンギが進むので秒針はステップ運針する訳です。

構造上、ぜんまいを巻き上げるだけでは始動しにくく、
最初の一振りのみ補助してやるとあとは順調に稼働します。
(テンプが止まっている状態では軸の溝がガンギの長歯に触れないためです)



デュプレックス脱進機(アメリカンタイプ)の懐中時計。


  
独特の形状のガンギ車と外したテンプの写真。ピンと溝が見えます。


デュプレックス脱進機にも種類があり、今回紹介のアメリカ式の他に
支那時計などに用いられるタイプのものがあります。
動かす仕組みは同じですが、力を加える部分の形状がアメリカ式とは異なります。
しかし分類上は同じ種類と言えるでしょう。



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