マリンクロノメーターやポケットクロノメーターに入っています。
本当のクロノメーターはこの機械が使われています。



  
スプリングデテントとピボテッドデテントの2種類があります。
基本的にやろうとしている事は同じで、方式が違います。


脱進機には中央付近にガンギ車が回転するのを押さえるストッパーの石が付いていて、
先端部分は図のように薄い板状の部品がちょっとだけ出ています。
この部品(パッシングスプリング)は片方にだけしなるように設置されています。
この先端の部分を回転するテンプの振り石がロックを外す方向に蹴飛ばします。
その瞬間に解き放たれたガンギの歯は振り石の脇の石を押しやり、
テンプに回転する力を与えつつ進みますが、
押しやって進む頃には蹴飛ばされた脱進機は弾力によってもとの位置に戻っており、
ガンギ車は一歯だけ進む事になります。


その後反動で戻ってきたテンプの振り石は今度は逆の方向に先端を弾きますが
パッシングスプリングはガンギ側へ弾力でフニャッとしなり、振り石をやり過ごします。
すると振り石は素通りしたのと同じ事になり、何も起きません。


この繰り返しによって時計は動いていくのですが、一方向の振りでのみガンギが進むので
秒針はステップする訳です。


スプリングデテントとピボテッドデテントの違いは脱進機に弾力を持たせる方式です。
スプリング式は図の通り固定された状態の板バネの弾力によって元の位置に戻します。
ピボテッド式は軸が付いていて(ピボットは軸という意味)
そこにひげぜんまいのように螺旋状のバネが付いています。
このバネの力で元の位置に戻します。



  
ピボテッドデテントポケットクロノメーターのテンプ周りの写真です。
手前に見える3つのネジで留められた部分がピボットの受けです。
そして赤の矢印の部分がストッパーの役目をはたす石です。


動作音は鋭く、なんとも心地の良い独特の音がします。




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